世界中で豪雨や熱帯低気圧、干ばつなどの気象災害が起き、気候変動への関心が高まっています。 パリ協定によって、企業は温室効果ガスの削減や気候変動への適応策を求められており、持続可能なビジネスモデルを採用し、気候変動対策を優先する必要があります。 日本においても、「2050年カーボンニュートラル」が宣言され、脱炭素の動きが進んでいます。 気候変動のリスク管理は重要であり、自然災害や規制の強化は事業継続性や供給チェーンに潜在的な影響を与える可能性があります。 企業は環境責任を果たすために、温室効果ガスの削減、エネルギー効率の改善、再生エネルギーの導入などに取り組む必要があると考えます。
グローバル企業である当社においても、気候変動への対応を世界的に取り組むべき重要な問題として認識しており、持続可能な社会を構築するために2050年までにカーボンニュートラルを達成するための活動を進めています。TCFDの要求事項に則り、当社に与える気候変動の影響を分析し、その対策を経営戦略に反映させることを推進しています。また、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの積極的な導入などCO₂の排出量削減に積極的に取り組んでいます。
EKKグループは、気候変動を経営上の重要な影響を及ぼす事項であると認識し、取締役会の傘下に設置しているサステナビリティ委員会にて審議を行い、その結果について取締役会に報告し、取締役会の監督が適切に図られる体制を整備しています。 なお、サステナビリティ委員会では気候変動のみでなく、当社グループが持続的に成長するための重要課題(マテリアリティ)の整理、決定と、その評価・管理を行い、それらの結果も併せて取締役会に報告されています。また、環境・安全衛生中央会議においては、事業活動上の環境マネジメント活動および安全衛生活動の推進状況の確認を実施しています。
当社では、TCFD提言に沿った取り組みの第一歩として、パリ協定が目指す将来像(今世紀末までの気温上昇を2℃未満に抑制する)の実現に向け、温室効果ガスの排出量削減に係る技術革新加速や政府による排出規制強化などの対応が進められる「2℃未満シナリオ」と、これらの取り組みが現状レベルのまま推移する「4℃シナリオ」の両シナリオに基づいて、気候関連「リスク」と「機会」を特定しています。
EKKグループの中長期的な事業ロードマップは、脱炭素社会へ向けて、再エネ比率の拡大や生産工程におけるCO₂削減の展開を加速するとともに、かねてより進めている次世代自動車・次世代エネルギー市場をターゲットとした環境貢献型製品の販売拡大を進めてまいります。
また、気候変動による事業活動上のリスクへの対応は、新たな技術創出等を通して大きなビジネスを生み出す機会でもあると捉え、中長期の企業価値向上へ向けて取り組みを進めてまいります。
シナリオ | 想定像 | リスク | 機会 |
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2℃未満 シナリオ | - 省エネ・脱炭素技術の進展及び対応政策の強化により、温室効果ガスの排出がパリ協定の目標に沿って削減 |
- 環境税強化(炭素価格上昇)に伴う原燃料・原材料コストの上昇 - 温室効果ガス排出規制強化に伴う対応技術導入などのコスト負担増 - 化石燃料利用減少による自動車内燃機関車両向け製品、石油精製・石油化学プラント向け製品の販売減少 |
次世代モビリティ・ 次世代エネルギー市場を ターゲットとした 環境貢献型製品の販売拡大 |
4℃シナリオ | - 温室効果ガスの排出が現状レベルで推移 |
- 自然災害の増大に伴う設備被害、事業活動の中断 - BCM対策コストの増加 |
- 異常気象による災害復旧向け機材製品の販売、需要増 - 既存製品群の販売継続 |
EKKグループの事業活動に影響を及ぼす気候変動のリスク及び機会の評価・管理は、経営上の重要課題であると認識し、取締役会の傘下に設置しているサステナビリティ委員会にて審議を行い、その結果について取締役会に報告し、取締役会の監督が適切に図られる体制を整備しています。
2022年度より、従来のリスクマネジメント・コンプライアンス委員会をサステナビリティ委員会に統合し、事業活動上のリスクマネジメントにおいて気候変動による各事業活動のリスクも抽出を行い、気候変動に対する取り組みの浸透を当社グループ全体での共有に努めてまいります。
2022年度のCO₂排出量実績は、2018年度対比グローバルで20%減となり、計画に対し順調に推移しています。脱炭素社会の実現は、グローバル企業である当社においても重要課題と位置づけており、製品においては省エネルギー、環境負荷低減を実現する環境貢献型製品の開発を、生産においては再生可能エネルギーの導入、省電力化の推進を図ることにより、2050年カーボンニュートラルを目指します。
CO2削減目標 | |
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2030年目標 | 2050年目標 |
2018年度対比 30%削減 |
カーボンニュートラルの実現 |